ヒプノシスマイク-Dream Rap Battle-

カードストーリー 神宮寺寂雷 H歴元年
Wipe out that goddamn

TRACK 1

――シンジュク カブキ町(夜)

飴村乱数

今日のチーム、あんまり強くなかったね〜!

神宮寺寂雷

飴村くん…… 敗者を貶めるようなことを言うものではありませんよ。

飴村乱数

え〜! 事実なんだから仕方なくなくない?? ってことはボクに嘘をつけって言ってるの??

神宮寺寂雷

……そうは言っていません。言い方の問題です。

飴村乱数

じゃあなんて言えばいいのさ〜!

神宮寺寂雷

そうですね。……健闘はしていましたが、 スキル不足が目立ち、努力を怠ったチームでしたね。

飴村乱数

あはは……寂雷の言ってることのほうが 酷いと思うけどね〜。

神宮寺寂雷

事実を並べると、このような言い方が適切かと。

飴村乱数

まっ! 要約すると雑魚ってことじゃん!

神宮寺寂雷

飴村くん……ですからそう言う言い方は……。

飴村乱数

じゃっくらい♪ ボクお腹すいちゃった! なんか食べて帰ろうよ!

神宮寺寂雷

ええ、そうしましょうか。

飴村乱数

っていうか寂雷?

神宮寺寂雷

どうしましたか?

飴村乱数

お酒飲んじゃダメだからね!

神宮寺寂雷

ええ、そのつもりですが。

飴村乱数

この間ホント酷かったんだから。

神宮寺寂雷

記憶がまったくないので謝罪することしか できません……。

飴村乱数

まっ、飲まなければ全然いいけどね〜! さっ、早くどっかのお店に入ろ〜!

神宮寺寂雷

……。

飴村乱数

ん?? どったの???

神宮寺寂雷

こんな時間なのに 明らかに未成年の子たちがあんなに……。

飴村乱数

ホントだね〜。みんな楽しそうだし、 時間忘れちゃってるんじゃない??

神宮寺寂雷

……。

飴村乱数

あ、ちょっと寂雷!

神宮寺寂雷

君たち、もう遅いから家に帰りなさい。

キッズA

あんたには関係ないっしょ!

キッズB

ほっといてよ!

神宮寺寂雷

親御さんたちが心配しますよ?

キッズC

俺らの親が心配なんかするわけないっしょ!

キッズB

帰ったほうが逆に危ないまであるし。

神宮寺寂雷

それは……。私でよければ相談に乗りますよ?

キッズA

相談乗ってくれるなら、あんたがどうやったら ここから消え失せてくれるか 相談に乗ってくれよぉ!

飴村乱数

ああ、ごめんね〜。このおじさん、 ボクが回収するから〜。さ、行くよ〜。

神宮寺寂雷

飴村くん! 彼らとまだ話が終わってません。

飴村乱数

寂雷。ここに何人同じような子たちがいると思う? この全員の問題を解決なんてボクらにはできない。

飴村乱数

仮に今目の前の彼らの問題を解決しても、 他の子達からしたら不公平になる。

神宮寺寂雷

しかし、だからといって見過ごすわけには……。

飴村乱数

それにあんなに威嚇してる彼らがまともに話を してくれるとは思えない。だから今日は行こう……。

神宮寺寂雷

……わかりました。

飴村乱数

ねぇ、君たち???

キッズA

ンだよ?

飴村乱数

色々あると思うけど、この街の夜は危険が一杯だよ。 本当の危険が迫った時、助けてくれる人はいない。 だからここから立ち去ったほうが身のためだよ。

キッズA

ふん。偉そうに。 さっさとどっか行ってよ!

飴村乱数

は〜い! それじゃ〜ね〜!

――翌日

――寂雷の家

神宮寺寂雷

ふぅ……。

神宮寺寂雷

(飴村くんの言う通り、全員を救うことはできない…… しかし何もしないというのは……。)

――着信音

神宮寺寂雷

――はい。

飴村乱数

あ、じゃっくらい??

神宮寺寂雷

飴村くん。どうしましたか?

飴村乱数

実はあれからカブキ町にたむろしてる子ども達について 色々調べたんだけどさ、イヤ~な情報をゲット しちゃったんだよね……。

神宮寺寂雷

嫌な情報……ですか?

飴村乱数

うん……。あそこにいる子達の臓器を 狙っている奴らがいるとか……。

神宮寺寂雷

っ!?

飴村乱数

金持ちたちは若くて健康な臓器に いくらでも詰むって話だよ……。

神宮寺寂雷

一体誰がそんなおぞましいことを……?

飴村乱数

臓器ブローカーがいるらしいんだけど、 そいつの情報まではゲットできなかったんだ……。

神宮寺寂雷

見過ごすわけにはいきませんね……!

飴村乱数

寂雷ならそういうと思った! ボクも最大限、力を貸すよ☆

神宮寺寂雷

飴村くん……ありがとうございます……!

TRACK 2

――シンジュク カブキ町(夜)

飴村乱数

昨日となんにも変わらないねー。

神宮寺寂雷

ええ……。それにしても飴村くんの得た情報が 本当ならなんとおぞましい……。

飴村乱数

……情報をくれた奴らはいけすかないけど、 情報収集能力はこの国で一番だから 間違いないんじゃないかな。

神宮寺寂雷

凄い友人をお持ちなんですね。

飴村乱数

あんな奴ら友達なんかじゃないよ。 そもそも解決できる力があるのに、なんにもしないし…… そんなことより、ここに来たはいいけどどうするの??

神宮寺寂雷

……彼らに直接話を聞く以外手立てはないでしょう。

飴村乱数

昨日と同じ結果になるだけだと思うけどなー。

神宮寺寂雷

それでも何もしないよりはマシです。

神宮寺寂雷

少しよろしいですか?

キッズD

……なんだよ?

神宮寺寂雷

君たちに聞きたいことが……。

飴村乱数

最近、この辺で見かけなくなった子とかいたりする???

キッズE

そんなの沢山いすぎて覚えてるわけないって。

神宮寺寂雷

どういう……ことですか?

キッズF

どうもこうもないっての。 ここの入れ替わりなんて珍しくないし、今遊んでる奴らの 素性なんて知ってる奴、ほとんどいないんじゃね?

キッズE

そーそー。いなくなったってことはなんかやらかしたか、 ここに飽きて姿を消しただけっしょ。

飴村乱数

……みんな友達なのに寂しくないの?

キッズE

ぎゃははは! なわけないっしょ! こいつらだって数日前に会ったばっかだし、 いなくなっても気にしねぇって。

神宮寺寂雷

……。

キッズD

邪魔だから早くどっか行けよ!

飴村乱数

寂雷、行こう。

神宮寺寂雷

ええ……。

神宮寺寂雷

……今の子達はここまで薄情なんですね。

飴村乱数

う〜ん……ここの子達は特殊な事情があるだろうからね。

キッズA

……なぁ?

神宮寺寂雷

君は昨日の……?

飴村乱数

ボク達に何か用かな??

キッズA

……相談に乗ってくれるって言ってたよな?

神宮寺寂雷

ええ、勿論です。

飴村乱数

ささ! 遠慮なく話してよ☆

キッズA

昨日一緒にいた奴らなんだけどよぉ……。 あいつらと連絡取れなくなっちまったんだ……。

神宮寺寂雷

君はちゃんと連絡先を交換しているんですね?

キッズA

あいつらは育った養護施設から一緒だからな……。

飴村乱数

……まだ1日でしょ? ……なんでそんなに心配するの?

キッズA

俺らは小さい時から毎日一緒にいたんだ! それこそ1日も離れたことなんかない!

神宮寺寂雷

それは……心配ですね。

飴村乱数

何か原因とか心当たりないの?

キッズA

ここいら辺にいるガキをまとめてる大人達が よく違法な仕事を斡旋してくるんだ。

キッズA

あいつらは俺とは別の仕事をあてがわれて…… そこから連絡取れなくなったんだ……。

飴村乱数

……そいつらが真っ黒だね。

キッズA

頼れる奴なんかいないし、 お前らに頼るしかないんだ……。 だから頼む! あいつらを探してくれ!

飴村乱数

うん! 任せてよ! なんせボクと寂雷は ペアレントフレンドかつ、最強のコンビ なんだからさ! ね、寂雷??

神宮寺寂雷

そうですね。我々に任せてください。 必ずや彼らを見つけてみせます。

キッズA

ありがとう……。

神宮寺寂雷

では早速聞き込みを始めましょうか。

飴村乱数

うん!

――オフィス街

飴村乱数

……。

神宮寺寂雷

……。

飴村乱数

……つけられてるみたいだね。

神宮寺寂雷

……先ほどの広場からずっと我々を 睨んでいた彼らでしょう。

飴村乱数

かくれんぼはやめて、出てきなよ☆

半グレA

よぉ! 申し訳ねぇけど、テメェらは ここで始末させてもらうわ!

半グレB

抵抗してもいいけどよぉ、苦痛が長引くだけだぜ!

半グレC

じわじわ痛ぶりてぇから、じゃんじゃん抵抗してくれや!

飴村乱数

あはは〜! ザコが使う定型文の見本市みたいだね〜! それにたった5人でボクらを どうにかしようなんて片腹大痛し!!

神宮寺寂雷

歓迎しますよ。 あなた達には聞きたいことがありますので。

半グレA

テメェらマイクを出せ!

飴村乱数

寂雷!

神宮寺寂雷

ええ!

――ふたりはマイクを起動する。

TRACK 3

半グレ達

うわらばああああああああああああああああああああ!!

飴村乱数

さてっと!

神宮寺寂雷

さて……あなた達の裏にいる人物を 吐いてもらいましょうか。

半グレA

ううう……。だ、誰がウタうかよ……。

飴村乱数

あはは〜。 喋らないのは裏にいる人への忠誠心じゃなくて、 そいつらが怖いからだよね?

半グレA

……。

飴村乱数

ボク達がそいつらより怖くないって思われてるのは 心外だな〜。もし舐めてるんならちょっと ホンキ出しちゃうよ?

神宮寺寂雷

飴村くん……。あまり手荒なことは……。

飴村乱数

なぁに〜寂雷??

神宮寺寂雷

逃げられないように両足だけにしといてくださいね。

飴村乱数

は〜い☆

半グレA

ま、待て! 話す……! 話すからやめてくれ!

――……

神宮寺寂雷

素直に吐いてくれましたね。

飴村乱数

だね〜! ってか寂雷、結構過激なこと言うんだね??

神宮寺寂雷

ふふ。冗談ですよ。 ああ言えば全て話してくれると思ったからです。

神宮寺寂雷

人は後からくる恐怖よりも 目の前の恐怖を回避したいと願いますからね。

飴村乱数

寂雷こっわ〜い☆

神宮寺寂雷

さぁそんなことよりも 彼らが言っていた場所に向かいましょう。

飴村乱数

うん!

――とある豪邸の前

神宮寺寂雷

ここが臓器ブローカーの家ですか……。

飴村乱数

凄いお屋敷だね〜。

神宮寺寂雷

セキュリティーが万全のようですね……。 さてどうしましょうか……。

飴村乱数

はいは〜い! ボクにナイスでグッドな あいでぃ〜あがあるよん!

飴村乱数

寂雷! 早くこっちに来て隠れよ!

神宮寺寂雷

……?

――……

飴村乱数

出てきた!!

神宮寺寂雷

出てきたって……あの柄の悪そうな人が どうしたんですか?

――走っていく乱数。

飴村乱数

お覚悟!!!

半グレD

なんだテメェは!?

――乱数はマイクを起動する。

半グレD

ぎゃああああああ!!!

飴村乱数

さ! 寂雷! これで今なら中に入れるよ☆

神宮寺寂雷

これがいいアイデアですか……。

飴村乱数

悪人に人権なんてないんだよっ☆ さ、早く早く!

神宮寺寂雷

これも子ども達を救うためですね……。

――豪邸の中に入っていくふたり。

――書斎

半グレ達

ぐあああああああああ!!!

神宮寺寂雷

ふぅ……。かなりの人数がいますね。

飴村乱数

まっ、ボクらふたりなら楽勝だけどね♪

神宮寺寂雷

……情報にあった地下室へ続く隠し扉はここですね。

――ボタンを押す乱数。

飴村乱数

ポチッとな!

飴村乱数

おお! 本棚の後ろに階段が!

神宮寺寂雷

さぁ行きましょう!

――地下室 牢屋

――子ども達が大勢閉じ込められている。

飴村乱数

っ!?

神宮寺寂雷

こ、これは……!

キッズたち

た、助けて!/ここから出してくれ!/早く助けて!

飴村乱数

待ってて! 今だしてあげるから!

神宮寺寂雷

鍵を探しましょう!

臓器ブローカー

鍵はここだ。

半グレE

へへへ。

乱数/寂雷

っ!?

臓器ブローカー

まさか正面からぶっ込んでくるなんざ、 ぶっ飛んでる野郎どもだな。

神宮寺寂雷

……貴方が彼らを?

臓器ブローカー

そーだ。誰からも必要とされねぇ馬鹿なガキどもを どうしようと誰も悲しまねぇよ。

飴村乱数

ゲス中のゴミ野郎だね。

臓器ブローカー

まぁ俺も相当なゴミ野郎だが、こいつらの臓器を 買う金持ち達に比べたらまだ可愛い方だろうよ。

臓器ブローカー

つーか、俺は誰からも必要とされねぇ ガキどもに価値をつけてやってんだ。 感謝してほしいくらいだぜ。

神宮寺寂雷

……彼らを返してもらいます!

臓器ブローカー

返す? アホなこと言ってんじゃねぇ! アレは俺のもんだ!

飴村乱数

話にならないよね……。 寂雷、早くマイクでやっつけちゃおう!

臓器ブローカー

はっ、ヒプノシスマイクか……。おい!

半グレF

はい。

――牢屋の鍵を開ける半グレF。

半グレF

おら、大人しく出やがれ!

キッズたち

は、離して……!/や、やめろ!!

神宮寺寂雷

くっ! 子ども達を盾に……!

臓器ブローカー

こいつら諸共やれんならやってみやがれ!

飴村乱数

くっ……ど、どうする……寂雷?

神宮寺寂雷

……私に任せてください。

飴村乱数

素手でどうするんだよ?

神宮寺寂雷

……外道には心置きなく私の技が使えます。

臓器ブローカー

ははは! 技ってなんだよ!

神宮寺寂雷

……。

――寂雷の姿が消える。

臓器ブローカー

なっ! 消え――

神宮寺寂雷

ふっ!

半グレE

ぐえあ!

神宮寺寂雷

はっ!

半グレF

あぎゃ!

――次々と半グレ達を倒していく。

臓器ブローカー

なっ!

半グレG

ぐぎゃ!

神宮寺寂雷

これで貴方の部下は全滅ですね。

臓器ブローカー

な、なんなんだお前……。

飴村乱数

あ〜あ。寂雷を怒らせるからこんなことに なっちゃうんだよ~!

臓器ブローカー

ぼ、暴力に訴えるなんて今のご時世に反してるぞ! 正々堂々とマイクで勝負しやがれ!

飴村乱数

あはは〜! お前が言うなって感じだけど、 寂雷! 勝負してあげようか!

神宮寺寂雷

ええ!

――マイクを起動する。

――……

臓器ブローカー

あああああああああああああああああああああああ!!!

飴村乱数

鍵ゲット! さっ、みんな出してあげる!

キッズたち

あ、ありがと……。/助かったよ……。

神宮寺寂雷

無事でよかったです。 ……貴方達の友人が心配しています。 すぐに連絡してあげてください。

キッズB

うん……。

神宮寺寂雷

飴村くん、今回はありがとうございます。

飴村乱数

気にしないでよ〜! これは人としてとーぜんのことだしさ〜!

飴村乱数

けどさ〜。今回はボク達がなんとかできたけど、 世の中にはまだまだこんなことが溢れてるんじゃない? それを全部無くすって言うのは――

神宮寺寂雷

できないと言うことは簡単です。 だからこそ私はすべてを救えるように行動したいです。 それがたとえ傲慢だと言われても……。

飴村乱数

それじゃボクも寂雷を手伝うよ! ひとりより、ふたりの方が 実現する可能性が高まるでしょ??

神宮寺寂雷

ありがとう……ございます、飴村くん。

飴村乱数

いいっていいって! この後ご飯奢ってくれればさ〜!

神宮寺寂雷

好きなものを奢りますよ。

END